こんにちは、Hiromi Sugieです。
少し空いてしまいましたが、前回の「問いのレイヤーを上げる」に続く投稿です。
よくデザイナーはコンマミリ単位(webならピクセル単位)でのこだわりを持ってデザインすることが重要と言われます。さほど注意しなければ気が付かないような細かい部分に充分に気を配ることが、最終的なデザインの完成度を高めることにつながります。「神は細部に宿る」と言われる考え方です。
細部に気を配りクオリティを上げるためには、技術的なスキルはもちろん重要なのですが、むしろ重要なのは「目」です。つまり、対象物を「できるだけ解像度を上げて見る」という意識が必要になります。
(解像度というのは写真などで画像の細かさを表す用語ですが、ここでは「どれだけ細部をクリアに見るか」という意味で使っています)
さて、この「解像度を上げる」ことは、デザインにおいては言うまでもなく重要ですが、デザインに限らず仕事の様々なシーンでも大切なことです。
たとえばメールの言い回しや資料のちょっとした部分に気を配ること。
職種によっても色々あると思います、接客業ならば立ち振る舞いひとつひとつが非常に重要かと思いますし、技術職ならばそれこそほんのわずかな違いが最終成果物に大きく影響を与えると思います。「解像度を上げる」なんて変な言い方をする必要はなく「丁寧にやる」「細かい部分に気をくばる」ということはどんな仕事においても重要です。
一方、「伝わればいい」「完成すればいい」という考えも確かにあります。スピードが最優先だったり、あるいは多少大雑把でも目的が達成されればOKという共通認識があれば全く問題はないどころか、むしろ細かいところに時間を使うのは無駄とさえ言われるかもしれません。
しかし、その共通認識がない場合、雑な資料や適当な振る舞いは、この人は雑な仕事をするのだなと感じられてしまう可能性もあります。飲食店で超雑に盛り付けがしてあったり、ホテルマンがヨレヨレのスーツを着ていたらちょっと嫌ですよね。(繰り返しになりますが、そういったことがOKという共通認識があれば良いと思います。「あそこのラーメン屋はテーブルは脂っこいしオヤジがラーメンに指突っ込んで持ってくるけど、でも美味くて最高なんだよなぁ」など)
要はバランスの問題なのですが、だとしたら基本スタンスとして解像度を上げておくことは決して損にはならないはずです。
前回の「問いのレイヤーを上げる」と今回の「解像度を上げる」、デザインはもちろん普段の仕事でも気を付けたいことをまとめてみました。
「問いのレイヤーを上げる」はマクロな視点。どんどん引いて、本質を探る作業です。
「解像度を上げる」はミクロな視点。細部にこだわってクオリティを上げる、あるいは細やかな部分に気をくばる作業です。
こうして文章にすると抽象的というか「アタリマエじゃん」という内容になってしまいましたが、自戒も込めて常に心に留めておきたいと思います。
読んでいただきありがとうございました。
こんにちは、Hiromi Sugieです。
なかなかブログ執筆がはかどりませんが、今日は「問いのレイヤーを上げる」ということについて。
(2回シリーズの前半です)
私たちデザイナーが仕事を進めるにあたって、与えられた要望、あるいは課題や問いに対して、最適な答えを探し、それをビジュアルによって指し示すことが一般的かと思います。しかし、ややもすると、「言われたことだけをそのままやる」、そこまでいかなくとも「要望・指示に応えるだけでいっぱいっぱい」ということに陥ってしまいがちです。(自分もしょっちゅうなので自戒も込めて)
そうなると、場当たり的に案件ごとに「こうしたらカッコイイからOK」あるいは「言われた通りやったのだから問題ない」と表面的なことだけに終始してしまいます。もちろん、「素敵な見た目をつくる」というのはデザイナーにとって重要な役目ですし、指示にきちんと応えることをおろそかにしてはいけませんが、ただ形を作ることだけに終始してしまうと本当の目的を達成できない可能性もあります。
「○○○を作りたいと言われたが、本当に必要なものはそれで良いのだろうか」
「こういうことに困っていると言っていたが、本当の課題はその裏に隠れているんじゃないか」
という視点を持つこと、つまり「レイヤーを上げる」という考え方が非常に重要です。
例えば、「イケてるwebサイトを作りたい」といった制作物ベースの要望の場合、確実にその目的や背景となる課題が潜んでいます。もちろん一通りの制作目的や抱えている課題などはヒアリングするのが一般的ですが、常にレイヤーを上げた視点を持ち「その課題のさらに根本的な問題はどこにあるのか」といった視点を持つことは、依頼者との目線を合わせ、ブレずに制作を進めるための指針となるはずです。
また、この考え方は、実際に制作を進める段階でも役に立ちます。ちょっとした例ですが、「この文字を大きくしてください」と言われた時。その目的は文字を大きくすることではなく、その文字を目立たせたいという意図があるはずです。目立たせることが意図であれば、単純に大きくする以外にも方法はたくさんあります。(場合によっては「なぜ目立たせたいのか」というさらにレイヤーを上げた問いも必要)
これはデザインに限った話ではなく、いわゆる「ソリューション営業」と言われる考え方で、トヨタの「なぜを5回繰り返せ」やマーケティングの格言「ドリルを買いに来た人が欲しいのはドリルでなく穴である」など、様々な言い方で長年言われていることです。これを僕は「問いのレイヤーを上げる」と呼んでいます。昨日からですが。
この「問いのレイヤーを上げる」という考え方、話としてはシンプルなのですが、言うは易し行うは難し。とかく御用聞きになりやすい受託業務においては、毎日拝みたいくらい重要な考え方だと思います。
読んでいただいてありがとうございました。
次回は「レイヤーを上げる」とはある意味対をなす考えである「解像度を上げる」について書きます。
こんにちは、Hiromi Sugieです。
打ち合わせや、そうでないときでも、たまに(自分としては少なくない頻度で)
「ブログ見てるよ」
「最近ブログの更新ないですね」
ということを言ってくださる方がいます。非常にありがたいです、全然更新してなくてすみません…。
僕の悪い癖で、文章を書くのに非常に時間がかかります。言い回しが気になったり構成が気になったり、結論がまとまらなかったり…。(癖というか、ただ単に文章を書く能力が低いのだと思いますが…)
あと主語を「杉江デザイン事務所」で考えていたのでどうしてもかしこまってしまうのですが、ブログについては主語を杉江個人に置いて、もう少し気楽に書いてみようかなと思うようになりました。
ということで、今日は「ブログに書こうと思いながらEvernoteで眠っているメモ」を整理してみました。この中から、あるいはこれ以外も、今後気楽に書いていけたらと思います。
・好きな書体(フォント)とその背景
・スマホ対応からスマホファーストへ
・著作権について
・契約書は超重要
・どこからどこまでが「デザイナー」の役割なのか
・中小企業診断士とデザイナー
・デザイナーになるまでの話
・デザイン料金の考え方、世の中の商品価格の決まり方
・地元、常滑にデザインで関わりたい
・代理店様からの案件事例掲載について
・WEB屋さんではない
・万年筆が欲しい
・黄色が好き
…方向性も粒感も見事にバラバラですが、書きたいネタはたくさんあることがわかりました。ここにあげてない細かいのもまだたくさんあります。
これだけあってなぜ書いてなかったのか。頑張ります、気楽に、気軽に、気長に…。
「こういう記事は読んでみてもいいかな」という心優しい方がいらっしゃいましたら是非お聞かせください。
皆さんは「ウェブサイト」と「ホームページ」の違いをご存知ですか?
「どちらも同じ意味じゃないの?」
「昔からホームページって言ってるよ」
「ウェブサイトに決まっている、ホームページは間違いだよ」
など、回答は分かれるのではないかと思います。
これら2つの言葉は、元々は異なる意味のものでした。
ウェブサイトというのは、
ウェブサイト (英:Website) は、(中略)特定のドメイン名の下にある複数のウェブページの集まりのこと。サイトと呼ばれることもある。企業などの団体が自身を紹介するため自ら構築したサイトを、その団体の公式サイトなどと呼ぶ。
(wikipedia)
例えば、いま見ていただいているhiromisugie.comドメインで構成される色々なページを全部ひっくるめて「杉江デザイン事務所のウェブサイト」、ということになります。
一方、ホームページとは、
ホームページ (home page, homepage) とは、本来はウェブブラウザを起動した時や、多くのウェブブラウザに存在するホームボタンを押した時に表示されるウェブページなどの画面(ページ)である。また、SNSなどにログインすることで表示される各ユーザー専用のページのことでもある。
(wikipedia)
ということです。例えば、皆さんがお使いのブラウザ(Google ChromeやInternet Explorer)を起動した時に、googleのトップ画面やyahoo!のトップ画面が表示されませんか?(特別に設定している方は除く)
それが、ホームページです。
ただし、現状日本ではウェブサイトのことをホームページと呼ぶことが多く、むしろ一般的には「ホームページ」の方が定着しているように思います。(※海外ではwebsiteのことをhomepageというと誤用なので注意)
「正しくはウェブサイトなのだ!」
「今やホームページと呼ぶのが主流なのだ!」
現状、どちらが正解と断言はできないと思います。テレビや雑誌などのマスメディアは勿論、大企業のウェブサイトでも本来的に「ウェブサイト」の意味の文脈で「ホームページ」という表記がかなり使われています。
(「ホームページ」と書いた方が伝わるのであえてそうしている場合も多いと思います。ネット上では、SEO的な観点からも「ホームページ」と表記することが多いです。)
結局は、シーンに応じて相手に伝わるよう選択することが重要かなと思います。
個人的な感覚では、お客様との会話では圧倒的に「ホームページ」という呼び方が多いと感じています。
一方、デザイナーやエンジニアの方は「ウェブサイト」(あるいは単に「サイト」)と言う人が多いように思います。
ウェブ制作関係者の方は、クライアントに対して「ホームページ」を使った方が伝わると思いますし、
クライアントの方は、ウェブ制作関係者に対して「ホームページ」ではなく「ウェブサイト」と言うと、ちょっとツウっぽく見られるかもしれません。笑
先日、「カラーユニバーサルデザイン」について勉強する機会があったので、メモがてら簡単にまとめつつ、デザインにどう活かしていくか考えたいと思います。
ユニバーサルデザインという言葉は近年とてもよく聞くようになりましたが、
カラーユニバーサルデザイン(以下CUD)はその中でも色に特化したユニバーサルデザインの考え方です。
具体的に言うと、色覚異常の方でも明確に判別ができるデザインをしよう、ということです。
テレビをお持ちの方は、リモコンを見てみてください。
地デジ用のテレビリモコンには青、赤、緑、黄色のボタンが付いています。
そこに文字でも「青」「赤」「緑」「黄」と書いてありませんか?
しかし、色覚異常があると、この4色がこのように見えてしまうそうです。↓
(画像は「1(P)型2色覚」というタイプの色覚異常の例)
もし、文字表示が無く色だけのボタンだと、「赤」と「緑」の区別がかなり難しいことがわかります。
そこで、色だけでなく文字情報を組み合わせることで確実に情報を伝えることを実現しています。
これが色覚異常の方に配慮したユニバーサルデザインです。
※このことを知るまで、私は「最近のテレビのリモコンはただでさえボタンだらけでゴチャゴチャしてるのに、
なんでわざわざ文字も書いてあるんだろう」と思っていました。汗
wikipediaの定義は以下です。
色覚異常(しきかくいじょう)は、ある特定の視覚の特性をさして呼ぶ診断名。ヒトの色覚が、先天的あるいは後天的な要因によって、正常色覚とされる範囲にない状態をいう。
(wikipedia)
呼び方は様々で、かつては「色盲」「色弱」といった呼ばれ方をしていたり、最近では「色覚異常」「色覚障がい」といった呼び方もされています。(NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構では「色弱者」という呼び方を提唱しています。以降、「色弱者」と記載します)
女性は500人に1人程度、男性はなんと20人に1人程度、程度は様々ですが色弱者の方がいるそうです。
程度の違いこそあれ、学校のクラスに1〜2人程度、会社だと自分の部署やフロアの中に数人程度いる、ということになります。
(海外では地域によって傾向があるらしくそれも興味深かったのですが、ここでは割愛します)
例えば、こんなカラーリングのデザイン。(書体:Frutiger)
この場合、色弱者(1(P)型2色覚者)には文字の識別がかなり困難となります。
これを解決する1つめの方法は、色弱者の方にも識別できるカラーリングに変更することです。
(東洋インキさんが出している「UDing」というソフトが便利です)
しかし、この画像は単純な例なので良いのですが、もっと色数が多く複雑で簡単にカラーリングを変更することができない場合には、以下の2パターンの方法を試してみると良いのではないかと思います。
文字と背景の境界線を付けることで、文字色と背景色の区別が付かなくても文字が認識できるようになります。
そもそもの文字色を白(背景が明るい色の場合は黒)等にして背景との明度差を付けることで、文字が認識できるようになります。
国や行政の発行する機関誌やウェブサイト、あるいは交通標識などの、見れない・あるいは色弱者に伝わる情報が異なっては困るものに関してはCUD導入は必須と言えるでしょう。現に、多くの自治体がCUDガイドラインをウェブサイト上で公開しています。(例:東京都カラーユニバーサルデザインガイドライン)
一方、ファッションやコスメといった嗜好性の高いもの、その他いわゆるブランドと言えるものについては、状況に応じてバランスを取ることが現実的かと思います。色はブランディングにおいて非常に大きな要素なので、CUDを気にしすぎるあまりデザインの選択肢が狭くなってしまっては、割合として多数を占めるターゲット層に訴求できなくなる危険性があるからです。
今のところは自分の仕事でCUDを明確に求められたことはありませんが、寧ろどんなデザインであっても初期段階でCUDの観点が必要かどうかを検討していくことが今後求められるようになるでしょう。
デザイナーにとってCUDの観点を持つことは提案の幅が広がる強みになりますし、発注側にとってもCUDを意識することが今後ますます求められてくるのではないかと思います。
手始めに「カラーユニバーサルデザインの手引き」という本を買ったので、ひと通り勉強します。